礼拝説教

総督フェリクスの法廷で


2025年04月06日

本文:使徒の働き(使徒言行録)24章

大祭司アナニヤと数名の長老は、弁護士テルティロを伴い エルサレムからカイサリアへ向かいました(距離にして約120km)。サンヘドリンでパウロを有罪にできなかった彼らは、ローマ総督フェリクスの権力を頼み、再び訴えを起こすことを目論んでいました。

テルティロは礼儀とお世辞で裁判を開くと、パウロに三つの罪状を突きつけました。第一に、彼は「世界中で騒ぎを起こす疫病のような扇動者」であること。第二に、ナザレ派(キリスト者)の首謀者であること。第三に、神殿を汚した宗教的犯罪人であること。告発側の狙いは、宗教問題を政治犯罪へ格上げし、死刑に持ち込むことでした。

総督に促され、パウロは自ら弁明を始めます。エルサレム滞在は十二日間に過ぎず、清めの儀式で神殿にいたのみで騒乱を起こす余地はなかったと説明します。使徒ヤコブの言葉に謙遜に従って清めの儀式を行ったことが、このような形でパウロ自身の弁明を助ける結果となりました。何より肝心なのは、告発者が証拠も証人も提示できていない事実です。

さらにパウロは「彼らが異端と呼ぶ教えを私は信じている」と率直に認めつつ、モーセの律法と預言者の書、そして義人・悪人ともに復活する希望をユダヤ人と同じく抱いていると告白しました。争点があるとすれば、死人の復活という一点だけです──それが彼の福音の中心でした。

フェリクスはこの「道」についてよく知っていたため、判決を先延ばしにし、パウロを軽い監視のもとで留め置くよう係官に命じました。しばらくして、総督はユダヤ人王家出身の妻ドルシラを伴い、パウロと面会します。囚人の立場でありながら、パウロは権勢者に迎合せず、義・節制・来るべき裁きという三点を堂々と語りました。ヘロデ家の放縦と不正を正面から指摘する言葉に、フェリクスは恐れを覚え、その場を退きました。

フェリクスは賄賂を期待してたびたびパウロを呼びましたが、パウロが応じることはありませんでした。こうして二年が経過し、フェリクスは後任のポルキオ・フェストゥスに職を譲リマス。その際、ユダヤ人へ媚びを売るため、パウロを囚人のまま残しました。

本章に映し出されるのは、次の霊的教訓です。

良心に誇りを持つ信仰者――パウロは敵意のまっただ中でなお神の前に潔白であろうとしたこと。

復活こそ福音の核心――最終的な論点はこの一点に絞られ、サドカイ派とパリサイ派の対立さえ露わにしたこと。

神の摂理――ローマの法と総督の宮殿までもが、パウロを守りローマ行きの道を整える器とされたこと。

パウロが語った「義・節制・裁き」は、私たちにも同じ問いを投げかけます。罪を正直に認め、節制をもって歩み、復活後の裁きを覚える――そこにこそ真の福音の力が宿るのです。

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