2021年10月10日
創世記22章1-18節
キルケゴールというデンマークの哲学者は、人間実存の領域を三つに分けて説明しました。人間実存というのは、簡単な言葉で言えば、人生の生き方といえます。キルケゴールが説明したその三つの領域の一つ目は「美的実存」です。美的実存は、食べたり飲んだり、心地よさを求めて生きることです。二つ目の領域は「倫理的実存」で、これは倫理と良心に従って生きることです。そして三つ目の領域は「宗教的実存」です。
今、私たちが読んでいるアブラハムの話は、まさにその宗教的実存です。これは信仰の世界です。3つのうちの1つの領域に生きる立場から他の領域の生き方を見ても理解することができません。3つの領域のうち、もっとも難しく、従って水準が高い領域が、宗教的実存ではないでしょうか。私たちは、その世界を深く見出したいと願っています。聖書はまさに、私たちをその世界へと導く、真理の書物です。