2025年07月20日
本文:コロサイ人への手紙3章18節〜4章18節
3章18節からは、夫婦、親子、雇用関係(当時の社会では主人と奴隷)といった基本的な人間関係に関する教えが展開されます。それらは一見すると上下関係を前提としたもののように見えますが、パウロはその本質を「主にある関係」として再定義します。つまり、どのような立場にあっても、キリストにあってすべての人が平等であり、互いに仕え合う関係が求められているのです。
とくに「仕える者こそが真の主人である」という逆説的な真理は、古い価値観を覆す福音の力を感じさせます。パウロは、奴隷であってもキリストに仕える者として誠実に働くように勧め、また主人には正義と公平をもって奴隷に接するよう命じます。これらの教えは、当時の社会構造に挑戦するラディカルなメッセージであり、現代の私たちにも深い示唆を与えてくれます。
さらに、祈りの重要性が強調されます。「たゆみなく祈りなさい。感謝をもって祈りつつ、目を覚ましていなさい」(コロサイ4:2)。これは、福音宣教の扉が開かれるために祈ること、また個人の内面が主によって変えられるように祈ることの勧めです。
使徒パウロは、単なる神学的指導者ではなく、実際に教会を支え、信徒たちを励まし、個々の名前を挙げて祈りと感謝を捧げた人物でした。ティキコ、オネシモ、エパフラス、ルカ、マルコといった名が最後の挨拶の中に記されていますが、どの人物もそれぞれの物語をもって、福音の物語に連なっています。特に、かつてパウロに失望されたマルコが、最も孤独な時にパウロを訪ねている事実は、和解と赦しの力を証しするものです。
福音に根ざした新しい価値観は、単なる知識ではなく、日々の実生活の中で表れていくものです。職場で、家庭で、教会で──それぞれの場において、キリストの香りを放つ者として歩むことが、今私たちに求められています。
「主にあって受けた務めを、注意してよく果たすように」(コロサイ4:17)。この御言葉を胸に、私たちは下半期の歩みを始めます。