礼拝説教

アテネでの説教:知られていない神を伝える


2025年01月26日

本文:使徒の働き(使徒言行録)17章16節〜34節

パウロが哲学の都アテネで語ったメッセージ(使徒17:16–34)は、彼自身の信仰と情熱をはっきりと示している、とても印象的な場面です。エピクロス派(快楽主義)やストア派(禁欲主義)など、当時の代表的な哲学者たちの前で、天地万物の造り主であるまことの神と、イエス・キリストの福音を力強く宣言しました。

アテネは世界でも屈指の学術と文明を誇っていましたが、実際には至るところに偶像が置かれ、パウロはそれを目にして胸を痛めます。人間には神様の存在をある程度推測できる理性が備わっているものの、本当の神様に背を向け、手作りの像を拝むこともある――その矛盾を、パウロは鋭く問いかけています。「知られていない神」(17:23)として祭っている神こそ、すべてを造られたお方だと、パウロは説明するのです。

しかし、理性だけで神様をしっかりと理解することはできません。そこでパウロは、神様ご自身がイエス・キリストとなってこの地上に来られたと宣言します。そして、人間が偶像に仕え、神様から離れていた罪を悔い改め、十字架と復活のキリストを信じるように呼びかけました。ここには「悔い改め」が欠かせません。人が自分の罪を認め、神様に立ち返るとき、永遠のいのちと聖霊による新たな歩みが与えられるのです。

パウロのメッセージに対しては、死者の復活などを聞いてあざ笑う人もいれば、心を開いて受け入れる人もいました。そして、アレオパゴスの裁判官ディオヌシオやダマリスといった人々が信仰に入り、新しい人生を歩み始めました。哲学の中心地アテネにあっても、福音は人々の価値観を揺さぶり、生活を根本から変えていったのです。

パウロは、数ある宗教の一つを勧めたわけではありません。唯一の神様とイエス・キリストにある**“ただひとつの真理”**を明確に語ったのです。私たちも、現代の多様な思想や価値観の只中で、パウロのように恐れず、しかし丁寧に、人々に福音の核心を伝え続けたいと願わされます。悔い改めと復活の希望、この二つのメッセージこそ、人の心に真の解放と喜びをもたらすのだと信じるからです。

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