礼拝説教

初代教会の誕生


2024年06月23日

本文:使徒の働き/使徒言行録 2章42〜47節

(説教要約)
ペンテコステの日、ペテロの説教を受け入れた人々は、悔い改め、復活を信じ、バプテスマを受けました。使徒たちと使徒に従う信徒たちが集まって教会は始まりました。

ここに教会の基本的役割が記されています。福音の告知=伝道(ケリュグマ)、交わり(コイノニア)、奉仕(ディアコニア)です。福音を受け取った者たちは恵みに満たされて平安を得ます。すると、自然に恵みを分かち合うようになります。キリストの愛に満たされ、その愛で他者を愛するように変えられるのです。まことの愛は、分かち合うことだからです。

信徒たちは、分かち合うときにパンを裂きました。パン裂きは皆で食卓を囲む愛餐でもありますが、それ以上に、十字架の愛を証しして恵みを分かち合うことを意味します。エマオの途上で2人の弟子がイエス様と共に食卓についたとき、イエス様がパンを裂いて彼らにお渡しになると、彼らはその方が復活のイエス様であることに気づきました(ルカの福音書24章13〜35節)。イエス様の受難の意味を理解したのです。

初代教会の交わりでは共同の食事がありました。皆が霊的な家族になったことを意味します。これは儀式ではありません。強いられてでも取り決めだったからでもなく、救いの喜びがあるからこそ互いに恵みの証言を分かち合い、互いを愛し、自然と食事を共にするようになったのです。

「すべての人に恐れが生じ」たとあります(使徒2章43節)。これは天の圧倒的な力を経験した人々に現れる証です。信仰は、圧倒的な恐れを体験することから生じます。伝道者の書/コヘレトの言葉5章2節には、 「神の前では、軽々しく、心あせってことばを出すな。神は天におられ、あなたは地にいるからだ。だから、ことばを少なくせよ。」(新改訳2017聖書)とあります。地にいる人間が己の言葉を少なくして天におられる神様の言葉を聞くことこそ、すべての知恵に勝る知恵です。神を恐れることは知恵の始めです。ここでの「恐れ」は旧約時代における裁きの神様に対する恐れではなく、主イエスを通して明らかにされた父なる愛の神様に対する畏敬の念です。神様を仰ぎ見、畏敬の念をもって生きるとき、私たちは賢く生きることができるのです。

また、人々の間で互いに畏敬の念が生じました。人が心から神様を恐れ敬うとき、互いを大切に思う心も生じます。人間の仲違いは、どちらが正しく、どちらが間違っているかを暴いたところで、関係を修復することはできません。最良の方法は、まず自分から神様に立ち返ってひざまずくことです。2人がそれぞれ神様の前にひれ伏すときにのみ、壊れた人間関係は癒やされます。天から下った恵みを互いに覚えるとき、人と人とは心から一つになることができます。
信者となった人々はみな一つになって、一切の物を共有しました(使徒2章44節)。なんという驚くべき聖霊の力でしょうか。人間にとって最も克服の難しいものが所有欲です。イエス様の弟子になるための第一歩は所有を克服することでした(ルカ9章58節)。所有から自由になって生きられた御子イエスの御姿を見ることができます。「より多く所有すること」に焦点を置いて生きるなら、人生を台無しにします。所有欲が人間の魂をがんじがらめにして自由を奪います。しかし、聖霊の力によって新しく生まれた人々の生き方を見てください。彼らは所有を克服し、一切の物を共有していました。

どうして、そのような生き方が可能なのでしょうか。人が心から満足と平安を得たとき、自分を無にすることができます。その生き方は、イエス様がご自分を無にされた(ギリシャ語でケノーシス(Kenosis))ことに倣う生き方です。イエス様のうちには神の満ち満ちたご性質が宿っていました(ギリシャ語でプレロマ(Pleroma))。イエス・キリストはこのように富んでおられましたが、私たちを罪から救うためにご自分を空にし、無にされました(ピリピ人への手紙2章5〜11節)。

一切の物を共有する、ユートピアのような素晴らしい新世界です。主イエスの教えを愛し、守る、この使徒たちの教会で、新しい世界が始まりました。新しい世界は、新しくなった人によって始まります。人を新しく変えるものは何か。それは主イエスの御霊の力です。人間の如何なる訓練によっても、政治や体制によっても、決して人を新しくすることはできず、このような素晴らしい世界を成すことはできません。

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